FM機・試験編~熱・真空試験~

超小型人工衛星 Stars-AO

FM機・試験編~熱・真空試験~

最後の試験は、熱・真空試験です。
真空チャンバーという宇宙の真空状態を再現する装置で、試験を行います。

しかし、問題は「熱」の部分となります。なぜかといえば、真空状態になるということは、チャンバーの中は魔法瓶と同じ状態となるため、外部からの熱はほとんど伝わりません。
そのため、熱源は衛星の近く、実質的には接触していないといけないといけないのですが、衛星は一つ一つ微妙にに形が異なり、かつ、熱を加えたい箇所なども変化するため、汎用的な冶具がなく、自作しないといけません。

自作のヒーターの例

さらに、温度を指定値まで上げて、その後、常温近くに下げて、というサイクルを数サイクルしなければなりません。(厳しい条件の場合は、マイナス方向がある場合があります。この場合は、真空チャンバーを配管で囲い、そこに液体窒素を流し込んで冷却します。お金も時間もかかります。。。)
当然、真空中ですので、温度が下がるにも時間がかかります。だいたい、8~12時間ほどです。
さらにいうと、指定の真空度まで真空引きする(真空状態にする作業)にも10時間単位で時間がかかります。

そのため、本試験は単純ではあるのですが、非常に時間のかかる試験となります。

ちなみに、本試験の一番の目的は、この熱や真空状態にバッテリーが耐えられるか?を確認することとなります。そのため、試験結果として報告する物は、バッテリーの試験前後での特性となります。特性に変化がなければOKとなります。

いま、Stars-AOでは絶賛テスト中で、このまま、無事に終わってくれることを祈るのみです。
(実績のあるバッテリーを利用していますので、何事もなく終わる予定です。)