分光器の製作2

超小型人工衛星 Stars-AO

分光器の製作2

Stars-AOデータ利用WGから

 FM試験関係で慌ただしい毎日が続いていますので、少しアクセントを入れるとともに、Stars-AO関係の他の活動の様子にもスポットライトを当ててみようと思います。前回の記事(分光器の製作)にて簡易分光器を作っていることについて軽く言及したところですが、今日は当該装置で使用している回折格子についてご紹介しようと思います。

 

 市販されている回折格子には反射型や透過型などいくつかのタイプがあります。分光スペクトルを得るためには専用の回折格子を使う方法が順当だと思われますが、DVDを使うという面白い方法もあります。DVDの表面にはデータを記録するための非常に細かい溝が等間隔に刻まれており、これが回折格子の働きをします。DVDの大まかな断面構造を見てみましょう。DVDはいくつかの層が織りなすサンドイッチ状になっていて、回折格子の働きをする溝は樹脂層よりも深いところにありますね。

 

 データを記録するたのレーザー光はこの樹脂層を通過して記録層に達するのですが、樹脂層があると不要な散乱光も同時に発生してしまいそうです。それで、この樹脂層を取り除くことができればクリアな反射光が得られるのではないだろうかと、DVDの僅かなすき間に鋭くカッターを差し込んでみました。するとどうでしょう、樹脂層だけをペリッと剥がすことができました!

 

 

 意外と簡単です。樹脂層が無いDVDの表面に目を落とすと確かに光沢感が増しています。樹脂層を剥がしたDVDを回折格子として使えば、スクリーン上には(樹脂層があるDVDに比べ)シャープな分光反射スペクトルが得られるのではと期待が膨らみます。