FM機組み立て・部材準備編その2!~アンテナ・インピーダンスマッチング編~
今回は、衛星の命綱というべき、アンテナについてです。
超小型衛星では、利用する周波数帯や形状などからほぼ例外なくモノポールアンテナというものが使われています。その名の通り、一本の棒状のアンテナです。昔のガラケーやラジオなどについていたアンテナと同じものです。
しかし、そのままでは利用できません。なぜかといいますと、理想的なアンテナの長さは、波長と同じ長さまたはその等分の1となります。すなわち、
波長:λ(m)=光速:c(m/s)÷周波数;f(Hz)
の方程式より、今回利用する周波数帯=430MHzから、アンテナ長は70cmとなります。
しかし、超小型衛星は10cm^3ですので、そのままの長さでは取り付けられません。
そこで、このような板バネのような素材(リン青銅)を利用します。
これをテグス(釣り糸)で引っ張って、巻き付けて収納し、利用時にテグスをニクロム線で焼き切って、展開します。
続いて、インピーダンスマッチングと呼ばれる調整作業を行います。
こう書くととても難しいもののように感じますが、測定器がありまして、これを見ながら調整するだけです。430MHz帯ですので、そのあたりに合うようにします。
具体的には、希望の周波数の時に「SWR」が「1.0」になるように、アンテナの長さを調整します。
※1.0は理想値です。1.3を目指して、1.5~1.6くらいで妥協する感じとなります。
ちなみに、やっている作業の内容としては、「反射波」と呼ばれるものを測定しています。もし、理想的なアンテナ(=SWR1.0)であれば、すべての電力(電波)がアンテナより放出されます。
しかし、完璧なアンテナは作れませんので、ロスが発生し、それが「反射波」として放出されずに戻ってくるのです。そして、反射波が大きいほどSWRの数値が大きくなるというわけです。